要請したのですが、発症即意識不明
という重篤な状態でなかったことは、
不幸中の幸いでした。
後日知り得たことですが脳卒中の中
でも脳出血もなく、ラクナ脳梗塞と
呼ばれる脳の深い部分の細かな
血管が詰まって壊死してしまうタイプ
のものだったせいで、麻痺や痺れは
あったものの、何とか立つことや着替
えも出来るレベルの発症直後でした。
着替えて玄関先に座って待っておりますと程なく救急車が来てくれました。
救急隊員の方の呼び掛けに応えていく内に、症状を聞きとった救急救命士の
方はストレッチャーに乗るように促しました。
乗るようにといいましても玄関先に腰掛けていた私の後ろにストレッチャーを
置いて、私は後ろにゆっくりと寝かされるだけで、そのまま足を伸ばせば
すでにストレッチャーに瞬時に乗っておりました。
初めて家の玄関から寝転んだままで外に出る経験でしたが、いつも見慣れた風景
なのに、お隣の二階や屋根、そして道路が見えなくて空が見える光景はとても不思議
でもあり、これからの入院生活を象徴するような瞬間でした。
付き添いで救急車に乗車したことはありましたが、
自身が搬送されるのはもちろん初めてでした。
搬送先をしばらく問い合わせた後にサイレンを
鳴らしながら救急車は走り出しました。
近隣でも最も大きな第三次救急病院への
搬送ということで、全部詳細に調べて貰え
ますから安心して下さい、と何度も救急
救命士の方に言われたことをよく覚えて
います。
その地域基幹病院までは30分ほどの道のりでしたが、救命救急士の色々な問い掛けに
横たわりながらその都度首を上げて答える度に、あっ、いいですよ、そのままで、と何度も言われたのが妙に可笑しな思い出として残っています。
貴重な救急車初乗車体験でしたが、早朝から搬送していただいて本当に
有り難かったのですが、その乗り心地(寝心地?)はお世辞にも快適とは
言い兼ねるものでした。
もちろんアスファルトの舗装路を快調に疾走して
行ったのですが、また揺れること揺れること。
身体全体がバウンドして救命救急士の質問に答えながら、足を踏ん張り
両手でストレッチャーの端を手で懸命に掴んで支えているのは、かなりの
難行苦行でした。
麻痺しているとはいえ掴む力や踏ん張りが少しは出来て良かったものの、意識がない
患者さんの搬送ならば、ストレッチャーに固定しなければ間違いなく落ちてしまう
だろうと思うほど、上下左右に激しく揺すられました。
冗談ではなくもしも救急車に乗ることが
あるのならば、覚悟が必要です。
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